【28日目】台風で潮位が上がるしくみ
Pmanです。
台風20号が接近してきましたね。気象庁によると23日18時現在、台風20号は高知県室戸岬の南方約60kmにあり、今後北上をするそうです。決して海岸には近づかないでください。台風が接近すると潮位が上がり危険です。
きょうは台風のによって潮位が上がるしくみを解説します。
吹き寄せ効果
台風からの風が海岸に向かうと、風に伴って海水が海岸に押し寄せます。台風が海水を海岸に向かって押しこむイメージをするとわかりやすいです。海岸に押し寄せた海水は後ろに下がることもできず逃げ場を失い、海岸で垂直方向に盛り上がるしかなくなります。これが吹き寄せ効果による潮位上昇の仕組みです。
この効果による海面の上昇は風速の2乗に比例します。風速が2倍になると海面の上昇は4倍になるのです。海面が上何m 上昇するかは地形によって大きく変わります。
吸い上げ効果
海水は普段から大気圧に押されています。気圧の低い場所では海水を押し付ける力が弱いのでその分海面が上昇します。台風は強い熱帯低気圧ですから、ほかの場所よりも気圧がめちゃくちゃ低いのです。つまり、台風の中心(気圧低いところ)に近づくに従って海面が上昇します。これが吸い上げ効果による海面上昇の仕組みです。
この効果による海面上昇は1 hPaにつき1 cmといわれています。
台風20号による潮位変化
しくみがわかったところで、どれくらい海面が上昇するのか調べてみました。
もともと潮位は地球と月との相互作用(潮汐)によって周期的に変化します。この周期的な変化よりも潮位が高い場合、もともとよりも高潮だ、と言えるわけです。
23日18時現在台風20号は四国の南海上にあるので、台風に近い徳島県の23日18時現在の阿波由岐観測所の潮位変化を見てみます。
オレンジ色のグラフが潮汐によっておこる潮位変化で、青色が実際の潮位変化です。もともとはほぼ潮汐のみの影響を受けていた潮位が、台風の接近に伴ってオレンジ色のグラフよりも高くなっているのがわかります。
潮汐による本来の潮位との差を表した潮位偏差のグラフを見ると23日の朝6時くらいから海面上昇が始まっていることがわかります。
また18時現在、潮位偏差、つまり普段に比べた潮位の高さはおよそ60cmくらいだとグラフからわかります。
(ちなみに海面上昇が始まる頃の徳島県の気圧はおよそ1000hPa、台風20号の中心付近は960 hPaですから、中心付近での吸い上げ効果による海面上昇は1000 hPaに対しておよそ40 cmで、吹き寄せ効果による海面上昇は20cm前後ということになります。)
注意すべきなのは、60cmの波が来るのではなく、海全体が60cm高くなることです。
普段よりも海が60cmも高いのですから、低い土地では普段到達しない場所にまで海水が押し寄せることもあります。
とくに入江であれば吹き寄せ効果によってこれ以上の海面上昇が見込まれます。本当に危険です。
台風が近づいてきたら海岸には近づかないようにしましょう