【3日目】フェーン現象のしくみ
フェーン現象という言葉を最近ニュースで聞くことがある。「最近気象予報で聞いたけど、なんか暑くなるやつでしょ?」というイメージを持つ人もいるかもしれない。
気象庁の予報用語のページによると、次のようにフェーン現象が説明されている。
湿った空気が山を越える時に雨を降らせ、その後山を吹き降りて、乾燥し気温が高くなる現象。または、上空の高温位の空気塊が力学的に山地の風下側に降下することにより乾燥し気温が高くなる現象。
これを読むと・・・どうやら「山地」から「乾燥した風」にのって空気が「降りてくる」ときに気温が上がる現象らしいことがわかる。
さらに調べるとアルプス山脈のある地域の局地風が語源という事もわかった。そういえば風がモチーフの遊戯王OCGテーマにそういう名前がいた気がする・・・
ではなぜ『「山地」から「乾燥した風」にのって空気が「降りてくる」ときに気温が上がる』のだろうか?気になった方に向けてこの記事を書いた。
- 「空気塊」の動き
- 高くなるほど温度が下がる
- 湿ると温度が変わりにくい
- 空気塊が山を下ると・・・
1.「空気塊」
多くの気象現象の原因は「空気塊」の動きを追えば説明できる。
空気塊とは、同じ性質を持ったひとかたまりの空気のこと。
「暖められた空気は軽くなって上空に昇る」という話を聞いたことがある人もいるかもしれないが、その話の空気は「空気塊」のことを指している。
空気塊は「周りの空気より湿っている」、「周りの空気より温度が高い」などの性質で特徴づけられる。
空気塊は水平に移動する。空気塊はある条件のもとで雲を作るが、雲が移動しているのをみると空気塊が移動しているのもわかる。
また空気塊は垂直にも移動する。「あたためられた空気は膨張し、周りに比べて軽くなって上昇する」のもこの一例。
2.高くなるほど温度が下がる
標高の高い山に登った人なら経験的に知っていることだが、高い場所ほど温度が低い。これは標高の高い場所ほど気圧が下がることが原因である。
高い場所では気圧が低いので、空気塊は膨張する。空気塊はこの膨張のあいだ周りから熱を現れたり、熱を奪ったりしない。この膨張の仕方を「断熱膨張」といい、この断熱膨張をするとき空気の温度は低くなる。(用語はどうでもいい)
ということは「気圧が低くなるほど」=「標高が高くなるほど」温度が低くなるのがわかる。聞いたことがある人がいるかもしれないが、平均的には標高が1000 mあがる毎に温度は6℃下がる。
3.湿ると温度が変わりにくい
冷たいアイスコーヒーを入れたコップには水滴がつく。コップの周りの空気は冷やされて湿度が100%になっている。
同じように湿度が高い空気を冷やすと、空気に含まれた水蒸気は液体の水になる。(これがあつまると雲ができる)問題なのは水蒸気が水になるとき、潜熱とよばれる熱をまわりに放出すること。このせいで、同じだけ高い場所にいても、湿った空気は乾燥した空気ほど温度が下がらない。逆に乾燥した空気の場合、潜熱が発生しないため気圧の減少で温度が下がりやすい。
湿った空気の場合、標高が1000 mあがる毎に5℃下がり、乾いた空気の場合10℃下がる。
これは余談だが、「湿った空気」と「乾いた空気」ではどちらの方が軽いだろうか?
乾いた空気のほうが軽いイメージを持つ人が多いかもしれない。実際アンケートをとってみたところ9割近くの人が「乾いた空気の方が軽い」と答えた。
実は「湿った空気」のほうが軽い。
湿った空気は乾いた空気と違って水分子をふくむ。乾いた空気の分子に比べて水分子のほうが軽いので、同じ気圧の空気を比べると湿った空気のほうが軽いのである。
このことから湿った空気塊は上昇しやすいことがわかる。
4.空気塊が山を下ると・・・
さて、フェーン現象とは「山地」から「乾燥した風」にのって空気が「降りてくる」ときに気温が上がる現象のことであった。
1.から3.で小難しいことを読んだ皆さんならこの現象の原因を説明することができる。
A
まずは湿った空気塊が山を登った場合を考える。
湿った空気が山を登ると、山の地形に沿って空気塊は上昇し、気圧が下がって膨張した
空気塊は雲を作り雨を降らせ、山頂を越えて乾いた空気になる。乾いた空気は地形に沿って山を下り、結果乾燥した空気塊が風下側に到達する。
湿った空気は1000 m上昇するごとに5℃ 温度が下がり、乾いた空気は1000 m下降するごとに10℃温度が上がるので、風下側の気温上昇は風上側の倍程度になる。
例えば、標高0mで25℃の湿った空気塊が3000 m級の山地を越えると、風下側のおなじ標高の地点には40℃の空気塊が吹き降ろしてくることになる。
B
つぎに乾いた風が山に吹いた場合を考えよう。
上空の乾いた風にのった空気塊が山地に当たると、地形に沿って山を下ることになる。乾いた空気は1000 m下降するごとに10℃温度が上がる一方で、風上側の空気と山頂の空気は平均的には標高が1000 mあがる毎に温度は6℃下がることからAのパターンほどではないが風上側と風下側で温度差が発生する。
風下側の気温が上昇するAとBの現象をまとめてフェーン現象という。日本における最高気温上位の地域にはフェーン現象が起きやすい地形がみられる。岐阜県多治見市や埼玉県熊谷市はその最たる例である。
フェーン現象について知ることができても、フェーン現象を克服できるわけではない。我慢ならない暑さの日は家の中でクーラーをつけてテレビなどの番組でも見て時間をつぶすのがいいだろう。
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