Fairlife feat.岡野昭仁を聴いてくれ
Fairlife(フェアライフ)というグループをご存知だろうか。
浜田省吾が作曲、水谷公生が編曲、春嵐が作詞を主に担当し、ほかのアーティストを迎えて楽曲を制作する「音楽制作グループ」である。
過去にCHEMISTRYやゴスペラーズ等、曲によって様々な豪華アーティストがヴォーカルを務めている。
その中でも僕イチオシなのが、ヴォーカルにポルノグラフィティの岡野昭仁を迎え入れた楽曲。
岡野昭仁は1アルバムごとに2曲もヴォーカルを担当する「Fairlifeの常連」なのだが、その中でも秋〜冬にかけて聴きたいオススメの2曲を紹介したい。
淋時雨
「パンと羊とラブレター」に収録
大切な友達の恋人を好きになってしまった主人公の気持ちを、初春から晩夏にかけて移りゆく景色に重ねた歌。
春の訪れとともに芽吹いた「あなた」への片想い。
大切な友達の恋人を奪いたくなくて必至に「箱の中」に隠そうとする気持ち。
二つがぶつかる苦しさの行く末を、岡野昭仁の優しく、伸びやかな声が語る。
個人的には、2番のサビの部分がお気に入りだ。
雨上がり 蝉の声
あなたを好きです、と 言えないまま
打ち上がる遠花火
「人」のように ふたつ寄り添う背中
夏を迎えたふたりの仲を見守るしかない主人公。
その恋が決して叶わないとわかった時、片想いが悲恋に終わった人が味わう、胸を締め付けるような懐かしい気持ちを思い出すのである。
冬休み
「Have a nice life」に収録
ハイティーンの青春を共に過ごした「あの子」との冬の思い出を歌っている。
僕らはいつしか別々の道
ソリで駆け下りていた
どんどん遠くへ
離れて暮らす 違う世界に
永遠に楽しかった「あの頃」の甘い青春とわずかな後悔。
今はもう別々の道を進んだ「あの子」との冬休みが、冬の匂いや雪をきっかけに再現したのだろう。
「もう一度会えたらいいな」という部分は、あの子に未練がある、というよりも
あの冬休みがの思い出が愛しくて、思い出話でもできたらいいな、くらいに思っているんじゃないかな?
岡野昭仁の、思い出を愛でるような歌い方がそんな解釈を与えてくれる。
さいごに
おススメした2曲とも、青春の淡い記憶を懐かしむ歌だった。
岡野昭仁の声を、晩秋の夜ふかしのお供にしてみてはいかがだろうか。