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【24日目】老人ことば「のじゃ」はいつ身につく?

Pmanです。

テレビ番組やマンガをみていると、老人キャラの一人称が「ワシ」だったり語尾が「なのじゃ」だったりしますよね。・・・老人になったら自分も「なのじゃ~」って言いだすのかな、と考えたりはしたのですが・・・

自分のまわりのご老人はだれもそんな言葉を使っていません。自然に「のじゃ」口調になるわけではなさそうです。この記事ではどうすれば「のじゃ」口調が身につくのかを考えます。

 

 

「のじゃ」は方言?

 

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中国地方を中心として「ワシ」や「のじゃ」を故郷の方言として持つひとは多くいます。最近ではお笑いコンビにこの方言を使う人がいますね。こどものころからこの口調に慣れ親しんだひとたちなら老人になっても「のじゃ」口調で居続けられるのかもしれません。この方言がなぜか老人のイメージとしてそのまま定着した可能性はありますね。

 

役割語

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文献をあさっていると、関連してそうな言葉を見つけました。「役割語」という言葉です。「特定の人物像を思い浮かべることができるような言葉遣い」のことを指します。

セレブな人なら「ですわ~」というように、ストーリーの創作などでキャラ付けをするためにぴったりなことばです。

みんなが「この口調ならこんな人物」という共通認識を持っていれば、それは役割語として成立するのです。

女性が「なのよ・だわ」という言葉づかいをするというイメージも役割語の定義に照らし合わせられますね。創作では長生きした者の象徴として「ワシ・のじゃ」口調が使われるような気がします。『「ワシ・のじゃ」も役割語の一種』という主張はなるほどしっくりきます。

一人称は役割を決めるための重要な要素です。日本語には「オレ・僕・小生・朕・あたし・ウチ」などなど、あまたの一人称があり、使う一人称によってその人のイメージは変わります。 

 語尾もキャラ付けに便利な言葉ですよね。

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僕たちの普段の言葉遣いも役割語

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実はストーリーのキャラ付けではなく、人ひとりの自分の言葉遣いにも役割語が含まれることがあるのです。

就職活動や入学試験の口頭試問では一人称を「わたし」にした人がプライベートでは「オレ」と言う。これは自分の役割が変わるのに合わせて言葉を変えている例です。

プライベートでの口調でも、人によって一人称が「ぼく」だったり「あたし」だったりしますよね。そうした口調が自分をキャラ付けしているという側面があります。

 

役割語は変えられる

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言葉づかいと話す人のイメージを関連付けられるのは5歳ごろからだそうです。他人との会話ほか、アニメやテレビ番組から話し言葉を意味を理解しつつ聞くことによって役割語が後天的に身につくのだろう、ということがわかっています。実際に言葉を使うときにも、アニメや戦隊ヒーローものの番組を見た子どもなら言葉づかいはそれに引っ張られるでしょうし、中学で一人称ボクだった人が印象を変えようと「オレ」に路線変更して別に役割語を使うという例もありそうです。

 

 

「わし・のじゃ」を将来的に話す可能性がある!?

一人称が豊富な言語のひとつ、日本語を使う以上役割語を意識せず使っていて、それはいくらでも変わる可能性があります。「尊敬語・謙譲語」というポピュラーな言葉づかいもある意味役割語ですよね。

「のじゃ」口調も、長く生きた存在という役割を自分につけるために身につけることは可能です。そういうキャラのVTuberとしてデビューするならなおさらですよね。

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